静寂で清らかな朝。そして、美しい生活に夢見ていた。
現実は、朝寝坊。遅刻。朝を楽しむことはない。 きっと僕には無理なんだ。そんな感じがした。なんとなくだが、理由はわかっている。 ヨルは、遅くまでおき、ゲームをやり、テレビをみているからだ。正直、自分は駄目だな~~とさえ思っている。 しかし、この生活はやめられない。まるで、自然のドラッグにかかったのだ。何もせずに過ごすのは、楽だし疲れない。 そんな、感じの僕でも一応は学校にいっている、ハッキリ言って目立たない人間だ。多分、同級生の8割は自分のことを知らないと思う。知っていたとしてもすぐには顔が出てこない存在だ。しかし、それでも充分だ。自分は孤独で居たい、人と付き合うのは面倒だし、疲れる。学校で一番好きな場所は、やはり人が来ない屋上だ。冬は寒すぎていかないが、そのほかの季節はとても心地よい。天国とでも言っていいくらいだ。昼寝をするにも格別なところだ。 しかし、そんな場所にも、カップルという存在がやってくる。いわゆる、カップルの秘密のデートスポットなのだ。誰もいないから、人の目を気にせずにいちゃつけるからだ。決まって、最期にキスをしていく、そんなところを何回も見ているので、この頃は気にならなくなってきた。カップルも自分がいないのと同然って感じである。 ベルが鳴ると、疾風のように家に帰る。そして、新たな二次元の世界に入る。そこでの冒険が楽しい。もちろん、学校の何十倍の楽しさだ。 こういう生活を送っている日々、こんなので本当にいいのだろうか?未来は?と考える時もある。誰か僕を止めてくれ、そうしない限り、元に戻ることは出来ない。 フィクション # by teruterudesu | 2007-01-25 17:21
スーパーマンの太郎君は朝起きて、歯を磨いて顔を洗って
ご飯を食べて 学校へ行こうとしました。 でも途中で異変に気づきました。 家が燃えていました。 曇り空の午後、電車の中。
別の車両からうつってきた少年。小さな背中にそぐわない教科書のたくさん詰まっているらしいかばん。- 塾がえりか。 床を見つめながら、はっきりと意志をもって動いていた足が・・・ふと止まった。 ふと見上げると、目の前に立ちはだかる高校生達。見た目は怖そうでわないし、悪気はないのだろうが、少年には十分すぎる試練だった。 迷う少年。声をかける勇気はなさそうだ。立ち止まろうか、それとも向かうべきか。降りる場所がかわったって何の支障もないのは確かだ。 ・・・でも。でも、それでいいのだろうか。ふと電車がゆれ、すきまができた。刹那迷ったが、意を決した少年はその間をくぐりぬけた。 声をかけてどいてもらったわけではない。無理やり通ったわけでもない。ただただ、偶然が生んだチャンスをものにしただけ。 たったそれだけのことだが、その小さな背中はピンと伸びていた。 ああ、小さな2分間の冒険。 http://hamq.jp/stdB.cfm?i=Believe1231&pn=9
僕は名のないスパイダー いつも見上げていた 空にはpinkのspider あいつはいつも空を睨み 隙あらば太陽を狙っていた 僕にとって全てのこの世界を あいつは憎んでいた ある日極楽鳥から知恵をさずかり 蝶の羽うばってあいつは飛ぼうとした 失敗した、その姿さえ眩しくて 「あきらめろよ お前も俺と同じただの蜘蛛だろう」 しかしあいつは絶望もあきらめもせず 変わらない空を睨んでいた あいつがいなくなった空を睨む そこにはピンクのスパイダー。
っっっっっというわけで、高校3年生 in フロリダ。目下涼子邸にむかい爆走中だ。何事もなく1週間を終えればいいなぁなんていう一筋の希望もあるが、んなわきゃねぇだろって俺の右脳がおっしゃってる。隣の沙羅はというと、時差ぼけから飛行機ではしゃぎすぎたからかは知らないが、俺とタクシーの運転手にあほ面をさらしながら眠っている。こういう顔も結構かわいい。。なんて思いながら俺もいつのまにか眠ってしまっていたらしい。
衝撃音と共に目が覚めた。 もう一発どでかい音。ここでようやく覚醒した俺は運転手に何が起こったかを聞こうとしたらその運転手、っというより座席ごとない。ついでに天井も。なんとなんとFFのメテ○のように隕石?が次々と落ちてくるじゃないか。といってもせいぜい数十センチだから人類滅亡はしなさそうだけど。そう冷静に考えてる間もどんどん落ちてくる隕石。景気がいいね。どこかへ逃げたほうがよさそうだが、どこへ逃げよう?隣の沙羅は無事なようだが、いまいち状況がつかめていないようだ。もちろん俺も。ここまで絶体絶命だと恐怖心てのは沸いてこないらしい。大気との摩擦によって燃えながら超高速で落下してくる物体をよけられるわけねぇだろ。結局数十分間のメテ○が続いた。 涼子、、生きてるかな? だから、沙羅が涼子のところに行こうと誘われた時には本当に驚いた。聞けば、前々から1度遊びに来てよといわれていたらしい。でも、なんで僕を誘うのだろう。なんとなく嫌な予感がするけど、答えを聞いてしまうと余計にきまずいので、いまだに聞けずにいる。
なんて事を考えていると、話はとんとん拍子で進んでいった。まず、日時は夏休みの間、1週間ほど。メンバーは、僕と沙羅、、、のみ。拓郎と駿は親の実家にいったり、忙しいらしい。使えないやつめ。受験戦争のまっただなかにいる僕らなのに、親の反応のいいこといいこと。少しはとめろよってぐらい何の反対もなしに決まってしまった。普段まじめに勉強してるのが祟ったのか。 おい、どーする俺?どうしちゃうのよ? 続くったら続く! せみは七日で死に
蜻蛉は一日で死に 僕らは70年生きる 一体彼らの人生に 何の価値があるのだろう 家から学校まではおよそ15分。本来なら正門から出て、そのまま2台の車が行き来できるだけの通りをしばらく歩いて、あーだらこーだら行くと最も早く着くのだが、今日は気まぐれにより、家の裏にある細い道を通った。
その細い道もしばらく歩いていると、結局は通りに出てしまう。葉と葉がこすれあってできた漣を後ろに残しながら現実に戻る。 ―プシュゥゥー 細道を抜けると、すぐ左のほうにバス停がある。ポツポツ人がいる程度で、決して人気とはいえないそのバス停は、長ベンチが2つに屋根つきと設備は意外にいい。バスの経路としては、まず学校を経由して、そのあと街中のほうに向かう。遅刻しそうな時はこのバスを使おうと、前々から考えてあった。 4人の先客の後ろに立ち、のんびりとした歩調でバスに乗り込む。乗客のほとんどがサラリーマン風の男性で、同じ学校の生徒らしき人が2,3人。ふと、整理券をとり忘れた事に気づき、あわてて戻ると、バスの後方50m位からなにやら叫び声が聞こえた。気になって窓から覗いてみると、自分の通う学校の制服を着た女子生徒が、スカートが翻るのも気にしない勢いで迫ってくるのが見えた。30m、10mと、かなりのスピードでその生徒はバスとの差を縮め、気がついたら目下にたっているではないか。 「邪魔よ。」 と、少々息切れの混じった冷たい声で言われ、俺は素直にその場を譲る。その子が段差を上り終えると扉は閉まり、バスが発車しようと踏ん張っている。俺の目の前でバス内部を見渡し、座る席を定めはじめたが、人が少ないので1秒もかけずに決まったらしく、席へ向かおうとしやがったのでひとこと言ってやった。 「整理券とり忘れてますよ。」 バスが1トン近くの客を背負いながらゆっくりと走り始めた。
迷った。
いつもと一本道を変えたら 迷った。 豹変する世界 方向感覚は麻痺し いたるところに 奴がいる 次の角で あの角で 僕は殺される ・・・かもしれない 名前も知らない奴に 感情の無い鉄のかたまりに 僕は殺される ・・・かもしれない いつもの道に戻る とたんに表情を変える町 さっきまでのは冗談だよと。 でも僕は忘れない 明日にでも僕は 今日にでもあなたは 殺される ・・・かもしれない。 「近くにこんなかっこいい男がいるのに、ほかの人と付き合えるわけないでしょ」
と笑いながら言ったのは沙羅で、その後も僕らは順調に付き合っていた。仲のいい友達にはもう打ち明けたが、なんだか寂しそうな顔に見えたのは多分僕の錯覚で、「僕と沙羅」という組み合わせはたやすくみんなの生活の一部となっていた。 沙羅との仲は順調だ。お互い納得いかないとこは話し合ったし、言うのも照れるようなことも沙羅になら言えた。今までもずっと近くにいたから、2人でいることには何の違和感もなかった。2人とも自然体で、ずっと一緒にいても疲れないし、むしろ楽しかった。むなしさを感じるとこなんて何もないはずなのに。 「あんた、やっぱ涼子ちゃんのこと好きなんだと思うよ」 姉が僕に放った一言。それはずっと背を向けていたけれど、否定できない圧倒的な事実だった。多分そうなのだろう。だからあんなに動揺したんだと思う。姉はこうも言った。 「まあ、今はそうでもこれからどうなるかはわかんないし、沙羅ちゃんとすぐに別れろとは言わないけどさ。ま、よく考えてみなよ。」 そんな僕に奇襲をかけるように、涼子の手紙は来た。といってもたいした内容ではなく、まぁ元気にやっているとのことだ。でも、なんでだろう。なんでたったこれだけの手紙を、沙羅に見せられないでいるんだろう。 ガードレールの隙間からかすかに見える一本道を眺めていると、今度は白い軽乗用車がこちらへ向かってきた。
「今日はやたらと車のとおりが多いな・・」 一人つぶやくその声を、掻き消すかのようにその車は俺の方へ近づいてくる。狭い歩道の中にまだいるためぶつかってくるはずもなく、俺はそろそろ学校へ向かおうと、来た道へと回れ右をし、最後に人目だけ見ておこうと首だけを回して後ろを振り向くと、軽自動車がちょうど俺の前を横切った。スモークガラスでよく見えなかったが、運転していたのはサングラスをかけた女性のようで、助手席には誰もおらず、後ろの三人掛けの席には中学生くらいの女の子が一人、こちらを見ているように見えた。 車が通り過ぎると寂れた町は再びあらわになり、西の山から学校へと視線を流し、そのまま東の山の枯れた桜の木を眺めてから、俺は首を正面に戻し、そのまま来た道を帰っていった。 木々に遮断された今日の日差しは柔らかく、風は涼しい。上がり下がりのない道を歩きながら新しい学校へ向かう足取りは軽くも重くもなく、俺はまだ出て間もない太陽の光を浴びながら《泉富高校》への期待と不安を胸に、腕時計を確認した。 8時12分 やばいっ。のんびりしすぎた。俺は駆け足で今日から始まる新しい高校生活へと向かう。 「初日から遅刻じゃ話になんねぇっ!」 僕の心の中には一匹の野良猫がいる。その猫は突然僕の生活の中に入ってきて、たまに遊んだりしているうちに居ついてしまったのだ。最初は何も考えずにじゃれていただけだったのが、そのうちに僕の生活にかかせないものとなっていった。ふと気づけば足元でねころんでいるけど、ちょっと寂しいときにはいつもいないような、だけど本当にいてほしいときには必ずきてくれるような、気まぐれだけど優しい猫。心の奥深くでつながっていて、安心してよりそえるような猫。その居心地のよさにも慣れてきて、2人で・・・もとい、1人と1匹でいることが当たり前になってきた時、来たときと同じぐらい突然に猫は去っていた。お気に入りだった机の下にたくさんの抜け毛を残して。以来、街で似た猫を見かけるたびに追いかける日々を続けていたが、近頃ではどこかで元気にしているんだろうと思うだけになっていた。でも、今日僕は彼女を見た。寝癖のついたような毛並みと、挑戦的なまなざしはそのままで、彼女は僕を見ていた。突然のことで、様々な思い出が頭をよぎったと思ったら、僕の前にはただ道があるのみだった。必死で探し回ったけどみつからなくて、もしかしたらと思って部屋にもどってみても、なにも見つからなかった。でも、、彼女が好きだったゴムのボールがなくなっていた。
―あの町はね、昔とても栄えた港町だったんだよ。
おばあちゃんからそのことを聞いたのが3年前。 ガードレールの向こうは鋭い坂道、いや、ほとんど崖のようなものが深くまで続いていた。ざっと200mはあるだろうその崖は天然の土で出来ており、大雨が降ると滝がそこにできる。そしてそれは、崖を下った最終地点にある、壁沿いにできた横長な水溜りの中へと消えていく。 その元港町は、背後に位置する南を崖、左右を緑多き山に囲まれたU字型になっていた。水溜りから少し離れた場所から小さな家が少しずつ並び、その量は中心になるにつれて増していって、海に近づくにつれてまた減っていく。左右も似たような状況だ。その家々は皆木材で出来ており、形も似たり寄ったりなものばかりだった。特別目立つ建物といえば、水溜りと中心のちょうど間くらいに大きくその敷地を展開している錆びれた学校くらいなものだ。その学校は、今では珍しい2階建ての木製で、横に長く、校庭は車が200台は並んでも運動会が開けそうなほど広い。 それ以外は特別目立ったところのないその錆びれた町を、友達とは《崖向こう》と呼んでいるのだが、その港には、ここからじゃよく見えないが、沢山のごみが打ち上げられているのだろうと、この間クラスの一角で行われた討論では結論されていた。それ以外にも、人はどれくらい住んでいたのか、港では何をとっていたのかという事も討論されていたが、一番みんなが燃えていたのが、なぜ崖向こうは衰退してしまったのか、という俺が出したお題だった。ちなみに俺は行き来の不便さが原因だと思う。なんせ崖向こうに行くためには、ここから東へ行ったところにある一本道を通るしかないのだから。 真っ赤な宝石が、怪しげな光を放つ。それに魅入られると、必ず・・・・・死ぬ。
「そんなの信じられないわ!」 全身赤、赤、赤 ―傲慢な女性が、その迷信を打ち破るべく、宝石を買っていった。 毎日毎日女性は、その宝石を見続けた。”魅入られると死ぬ”なんて事、当の昔に忘れた。 「奥様、食事はいかがいたしましょうか?」 「いらないわ!」 女性は食事を取ることも、外出する事も忘れてただただ宝石を見続けた。 ある夜。 眠ってしまった女性の傍らに、薄汚れケープに身を包んだ女が立っていた。 「あなたは……誰?」 「私は悲しい。なんであなたは信じてくれないの。」 「信じるって何を?」 「あなたがたとえ見ていなくとも、私は美しく輝き続ける事を。」 目が覚めた時、宝石を見た女性は、ふと女の悲しい顔を思い出した。 「夢の中の女は、あなたなの?」 鏡を見て、そう呟いた。 それから女性は、食事をきちんと取るようになった。友人に誘われて外出する事も多くなった。外出する時は、宝石も一緒に。 「あなたもたまには外に出たいでしょ?」 そう言いながら太陽に翳すと、宝石は一層眩しく輝いた。 それからしばらくして、遠征から帰ってきた夫に別れを告げられた。 必死に抵抗する私から何もかもを奪って、手元に残されたのは身を包む布切れと、赤い宝石。 ・・・殺されたも同然だった。 私は、ずっと毛嫌いしていた川向こうに送られ、泥沼のような環境で必死に生きた。 大木を燃やして暖を取り、畑から食料を盗み、雨にすがり、知らない人たちに絡まれて、殴られて、蹴られて。 でも、耐えた。何も言わずに、ただあいつの女を見返すために。 そして、生き返った。 再び町に這い戻ってきた私は、大通りに小さな雑貨店を開いた。 ある日、全身を赤で包んだ派手な客がたずねてきた。 ハンサムな男性と腕を組み、時に長い接吻を交わしながら、置いてある物に文句を言っている。 店の中をほとんど回り終えると、女のほうが大きなため息をつきながら私のほうに近づいてきた。 顔からは、この程度ですの?と言いたそうなオーラが隠そうともせずあふれ返っている。 私は手馴れた動作で、鍵のかかった引き出しから赤い箱を取り出し、カウンターに置く。 すると、女はその場で立ち止まり、目を凝らしながらそれを見た。 私は言う。 「それに魅入られると、必ず・・・・・死ぬ。」 怪しげな光を放つそれは、以前にも増して赤かかった。 ―まだ早い気もするが、風鈴の音が鳴り響いていた
受験で願いをこめたピンクのお守りは休み中に散り、まだところどころにその姿を残しているものは、母親に家の前の掃除を任されたぷ~太郎達を困らせている。 立派な住宅の塀に囲まれた、緑多き狭い路地裏で向かい風を受けながら、薄汚れた花びらの積もる溝の間をのんびりと歩いていく。小石を敷き詰めて固められた歩道はカップルが通るとそれだけで行き止まりと化す。春一番からまだそうたっていないはずなのに、風鈴をやさしく鳴らした風はひんやりと冷たい。 上がり下がりのない道を何も考えずに歩いていると、突然光が目を撃ち、我に返って前方に広がる空を見た。空と路地裏を隔てていた木はここで途切れていて、変わりにそこには車2台が行き来しても十分にスペースのある自動車道と、それらの転落事故を防ぐための白い一般的なガードレールが張られていた。丁度その時トラックが右手から現れて、反対側の緩やかなコーナーから迫りくる軽自動車に向かってクラクションを鳴らす。トラックが目の前を通り過ぎてから再び前方に視線を動かすと、ガードレールのさらに向こうに広がる青い海と、雲ひとつない空。その周辺にある錆びれた家々が目に入った。 ―新たな人に出会うことに何の意味があるのだろう
小学校入学当時の先生は、毎朝のように「いっぱいの人と仲良くなるのよ」と言っていた。 そんな事は、当時の私にとっては『当たり前』だった。 まどみちお作『一年生になったら』がテレビやデパートで流れるのを聞くたびに 私の頭の中は、富士山にみんなで行くんだ。日本中を一回りするんだ。 それが、私の中での学校生活だった。 楽しそうで、憧れの学校。 1年生のとき、友達を作ってやるんだ、という事を一心にいろいろな人に話しかけて、元気な子とご近所さんに言われた。 2年生のとき、友達とけんかしたりもしたけど楽しく遊んだ。 3年生のとき、いっぱいいっぱい出来た友達と別々のクラスになっちゃったので、また一生懸命に友達を作った。 4年生のとき、同じクラスだった子を一番の友達にして、そこから友達の輪を小さくしていくことにした。 5年生のとき、一番の友達が問題を起こしてみんなに嫌われちゃったので、私も違う一番の友達を探すことにした。彼と同じクラスになる。 6年生のとき、一番の友達の友達と、彼の友達とで良く一緒に遊んだ。 そして中学校に入ると、小学校からの知り合いは彼だけになった。 みんな、違う学校に行ってしまったらしい。 こんな短い6年間の間で、私はいつの間にか友達100人の夢を忘れて、富士山への遠足なんかなくて、日本一週旅行はお金が沢山かかるんだと実感させられた。 友達も、最初はいろいろな人と仲良くするんだ、ってママに自慢していたのに、いつの間にか一番の友達とずっと同じクラスでいたいと願うようになっていた。 新たな人に出会うことに何の意味があるのだろう。 結局出会ったってその人とは離れるんだし、その時感じる苦しさは全然良くない。嫌いだ。 最初から関係を作り上げるのだって、一生懸命嘘ついて無理やり笑顔作るのは気分がいやになる。 でも、そうでもしないと人は寄ってこない。 それに、それに、新しい人が彼を傷つけるのはいやだ。 彼がどれだけ悲しい目にあったか知らないくせに、それにドスドス作り笑顔で踏み込もうとするなんて、見てて耐えられない。 彼をそっとしておいてほしい。だから、新たな人になんか出会いたくない。
『紅山アヤメ(完成)』の方にまとまったプロローグを入れておいたので、今まで打っていたものは中断せていただくことにします。
ややこしい話を多々入れていたくせに・・、それは、今後の展開に加わる形で入れて行こうと思うので、これからもよろしくお願いします。 ――
―――― ―『・・・クソの時なり。』 頭の中でそんな声がして・・・―――― 「・・やばい!?出るっっ!!!」 パソコンの液晶に映った顔が青ざめたように見えた。ENEMYはもうすぐそこまで来ている。 生暖かいマウスから手を離し腰の沈む椅子から転がり出て手ごろな位置に落ちていた青いブックカバーつきの本を一冊掴み、 「ダッシュダッシュ!!」 階段を駆け下りていった。 「ウォシュレット壊れてるわよ!」 そんなセリフが聞こえたような気がしたが、無視無視。 ―時は・・・ 『明日には戦争が起こるぞ!』 そう、明日には戦争が起こるのではないかと騒がれている―しかし起きる気配がない、そんな時である。戦闘機が空を舞い、軍隊が街を行き、銃撃が・・(まだ始まってないよ。)。 《明日には戦争》は、数年前から言われ続けていて、しかしなかなか始まらないものだから人々の緊張は時の流れとともに緩み、学校での避難訓練でも皆ペチャクチャ喋りながら非難するようになりやがった。 そんな中、一人だけ真面目に日々を生き、常時戦争への警戒を怠らないイケメンがいた。 ―それがオレ。 ―――・・・ ―――――・・・ ―――――――信じた? 冗談だよ。8割嘘、2割マジ。 真面目に日々を生きてるってのは、嘘。宿題タリィ、幽霊部員、居眠り常連、チャリ通学。自由を取り違えてる人間の一人、とも呼ばれているな。長い愛称だろう? イケメンってのは・・、マジだと思いたいけど嘘だろうな・・。_| ̄|○ 28回、クラスの女子全員(変なのも混じってた)&その他に告白して、おれの輝く、きらびやかな、眩しい瞳にKOされた奴は一人もいねぇ・・。一度だけ、階段から蹴落とされて保健室送りにされた記憶も・・・ないか。 常時戦争への警戒を怠らないってのは、マジ。ってかただ単に怖いだけ。戦争が始まったら自分だけでも生き延びて、死んだクラスメートたちのもがき苦しみ助けを呼ぶ様を見てあざ笑ってやるんだ、と毎休み時間中考えてる。そのためのサバイバル知識集も道具もすべて秘密裏に部屋の屋根裏に隠してある。 そんなオレは今トイレの中。無駄に重いドアを開け、閉め、念のために鍵をかけ、急いでズボンとパンツを同時に下ろして配置完了! 「さぁて、本でも読みながら・・。」 ―時は・・・ 「金なりなんじゃこりゃぁぁぁっ!!?」 表紙をめくるとそこは、びっしりと文字の書かれた小説の世界でした。 「あほかっ!!」 本を地面にたたきつけ、それを睨み付ける。と、紙が二枚這い出るようにしてはみ出しているではないか。 「???」 広告とかそういう類のもんじゃない。紙の質からしてページの一部なのだろう。 気になってそれを拾ってみる。 2枚の紙はつながっていた。丁度B5サイズの紙が綺麗に2つに折れており、折れ目周辺にはホッチキスの穴が複数開いていた。紙には文字がビッシリ。 『脳が下痢をした。脳のクソは口から出る。』 「・・・。」―残りも読んでみる。 ―――・・・ ―――――・・・ 「やべぇ、おもしれぇ・・。」 本を拾い、悪かったと謝るようにしてカバーをさする。つもりが上手くいかず、手に引っ付いたかのようにカバーはスライドして、その表紙をあらわにした。 『題名 クソの時なり 著者 ○○○○○ 絵 ○○○○○』 著者と絵を書いた人の名前は言わないでおこう、と思った。なんか勘違いしてる人見たいな類の名前だったし、ってかそもそも字が難しすぎて読めないし、何よりこの絵が・・。 「ギャハハハハッッ!!!!ギャッハハッッッ!!!!!」 ヤベェ、クルシィ。 「ギャッハハッッッ!!!」 ―コンコン。 「お兄ちゃんうるさいよ。」 その一言で正気に戻る。が、手元にある本を見下ろすとまた笑いがぶり返りそうになるので、ノンルックページ送り。ようは本を見ずにページをめくった。 「ハァハァ。やべぇ、これ犯罪だろう。」 ―その後、彼はところどころに描かれた絵を見ては文体とのギャップに大笑いし、妹、母親、果てにはお隣さんにまで注意されることとなった。 数時間後。 ―ズジャァァァ 「はぁ、すっきりした。」 本を読み終え、いつものようにウォシュレットのボタンを連打して本当に出ているのか疑問に思うほどのチョビチョビ水を十分にケツに受けたような気がしてから、立ち上がりパンツとズボンをはいた。本をポケットの中へねじ込み、ドアノブを握る。 ―この本がなぜ自分の部屋にあったのかは、最後のページに書かれていた。 『涙しずくさま、いつもカキコありがとうございます。これは私○○○○○からのささやかなお礼です。』 涙しずくとは、さっきの注意しにきやがったオレとまったく似てない生意気な妹のネット上のペンネームである。(つい一週間前に妹が風呂に入っている間に部屋にコッソリ進入したとき、画面に著作権を完全に無視してるであろうホームページが開かれていて、そこに妹が涙しずくという名前で書き込みをしようとしてたのを目撃。よゆうだぜ。)そして多分○○○○○さんから何らかの方法でこの文章をもらい、それを自分で印刷して冊子にした。しかし途端に兄の何かが気になって、それをオレの部屋にもぐりこんで探しているときに落としたのだろう、とオレは無い脳使って考えた。 そして最後に、 『青葉谷丸小学校6年2組 青島 ○○○○○』 と裏表紙に書かれていた。どうやら妹と同じ小学校の同学年のようだ。これは見覚えのある手書きだったので多分妹が書いたのだろうと思った。あと、それと同時に青島家夫婦の頭を疑ったオレだった。 ドアノブを握り、いつも通り重い扉をあける。 ―いつもより重いような・・。 が、すっきりした後は無駄なことは考えない!ドアがゆっくり開き、半開きになったところで左足で一歩前に踏み出す。 と、しかし床をにつくはずだった足は空を踏み、そのままバランスを崩して前のめりにコけてしまった。体が160度近く傾いた頃、そろそろ床に当たるだろうと思ったが、しかし160度どころか200度近く傾いてかろうじて床についていた右足も宙に浮いたころ、やっと額が床に当たった。 続いて残った体も崩れ、鼻先がざらざらとした感触の上を少しだけ滑った。ポケットから本が落ちる。 「イッッテェェェ・・・。」 唸りながらしばしその状態で固まる。予想外の展開に頭がついていけていない。 ―――・・・ ―――――・・・っ!? 何かがおかしいことに気がつくと、すぐさまバッと起き上がった。土ぼこりがついた服など気にも留めず、あたりを見渡して絶句する。 ―あたりが、見渡せるほど広くなっていた。 ―見渡せるほど・・。 あたりは一面乾いた土だらけだった。砂嵐がところどころで渦を巻き、小粒の土が体を打つ。 住宅街だったそこに家と呼べるものは一軒も無く、ところどころに銀色の箱がたたずんでいるだけ。 ―そして自分の後ろにも、ほかのと比べて小さいが銀色の箱があった。 トイレシェルター、とうちで3年前まで呼ばれ、一時期話題の中心だった小さなシェルターだ。 《明日には戦争》と訴え始めた総理大臣は、すぐさま各家1つは対核シェルターを配置する、という法律を作り出した。それはすぐさま議会で可決されたが、しかし国民の反対の声は大きかった。金持ちの家はみなすぐ用意していたし、それに元々持っているとテレビで自慢している人もいた。しかし、うちみたいな貧乏な家にとって、対核シェルターを自腹で用意するのは破産を意味するも同然だった。しかし政府がチェックを行い、もし用意していなかった場合は罰金あるいは戦争が始まるまで刑務所送りにするという。そのため、考えた末にわが家は宝くじというものに頼り、そして見事3等をあて、しかしその金は小さなトイレシェルターを作るために消えてしまったというわけだ。 ―そして今、オレはこの小さなシェルターに救われた・・。 「ッッッハハハハ!!」 ―笑うしかなかった。 数時間前にトイレをノックしに来た妹も、母も、お隣さんも、リビングでタバコをすいながら新聞を読んでいた父も、すべて灰になって飛んでいった。消えた。死体をあざ笑うことさえ、できないじゃないか。 ―笑いは止まらない。 買ってもらったばかりのパソコンも、プリンターも、ケータイも、カメラも、屋根裏に隠しておいた知識集と道具も、すべて消えうせた。 「ッッッハハハハ!!」 徐々にシェルターから出てき始めた幸運な人々が、まず最初に周囲の状況を見て唖然とし、それからオレの方を見て肩をビクビクさせてやがる。 「ッハ!!ハハ・・ハッ・・・・・・」 ―笑いは止んだ。 次にやることを考えることにしたら、意外と簡単に決まった。 ゆっくりと後ろを振り返りまだそこにあることを確認して、ゆっくりと歩み寄り、ドアノブを回して重いドアを開け、 ―バタン カチッ ドアを閉じ、鍵をかけた。 「まだ、第二弾がくるかもしれない。」 便座に腰掛けて初めて、自分がブツを拭き忘れていたことに気がつく。 しかし、そんなことはどうでもいい。 ―オレだけが、オレだけが生き残ったんだぜっ?!奴らはもう死んだんだ!あとでほかの奴らも死体を捜しに行ってやる。 「ハッハッハハハハハハッッッ!!!!!!!!」 ―笑いがぶり返す。 それから丸1日たっても、第二弾は投下されなかったらしかった。ドアを開けた向こうには相変わらずの銀色の箱と、所々に真っ赤な水溜り。よく目を凝らすと、大きな銀色の箱にはへこみがいくつか見られた。へこみが多すぎて穴の開いてるやつもあった。 ―銃痕。 多分オレのは小さいから狙われなかったのだろう。 段差に注意して地面に足を下ろし、外の空気を吸って肺を洗浄する。それから数を前に歩み出でると、何かが足に当たった。 首だけを動かしてそれを確認する。 開いたまま放置された本だった。 下手糞な絵が書かれた本は、しかし見ても笑えなかった。 その代わりに、題名にものすごく心引かれた。 『クソの時なり』 これからオレは奴らをあざ笑いに行くぜ。 クソの時なり ~トイレに助けられた少年~ 完 ―都会の片隅に佇む中高一貫校。私はここで今日、最後の日を迎える。 ――もう、この緩やかな坂を歩くこともなければ、彼らと会うこともないだろう。 ―――いや、あるいはどこかで偶然会うことはあるかもしれない。でも、そんなものには期待しない。 3年間付き合ってきた友達の姿を見つけ、私はなんとか笑顔を作って「おはよう。」と最後の挨拶をした。 相手の目には悲しそうに写ってしまっただろうか、と不安を抱きながらも、私はそのまま早足で、気づかない間に小さくなっていた校門をくぐった。 教室に着くと、クラスの半数以上がすでにそろっていた。 遅刻常連組みも珍しく早く来ていて、お互いに写真を取り合っている。 私も席にかばんを置くと、近くにいるクラスメートから手当たり次第に写真を取り合った。 時間は無常にも過ぎて行き、不意にチャイムが鳴る。教室は一瞬で静まり返った。 ほとんどの生徒が目を瞑り、そして決心したかのように席についていく。 私もそれに習って席に着いたのと同時に、先生が、入ってきた。 中学部女子体育の先生、小澤道明。『道』と言う一文字をモットーとする熱血教師―が小さすぎるドアをくぐって入ってくると、一気にみんなの視線はそっちに向いた。『熱血教師が燃え尽きて灰になった!』教室の一角でそうつぶやく人がいた。―苦し紛れに? 皺一つないきれい過ぎる純白のスラックスに、これまた純白のシングルスーツ。その中には残り火のような真紅のワイシャツの襟元で小さく結ばれた白い蝶ネクタイ。〆にはどこで手に入れたのか興味をそそられる白すぎる革靴。ちなみに頭はところどころ白の混ざった黒髪がオールバックでセットされている。 『・・・・・・』 教室は一瞬、沈黙に包まれた ―が、ものの数秒もたたないうちにそれは掻き消えた。 『おおぉぉぉぉ!!』 驚きと感動が入り混じった声が教室中に鳴り響き、大半の生徒が耐え切れずその場で立ち上がる。 ―苦し紛れで何が悪い? 「先生格好いい!」衝動に駆られて校歌を歌いだすやつや指笛を鳴らすやつを押しのけて、一際目立った声がまっすぐ先生へと駆る。 「イカスよ先生!!」 「気合入ってますねっ!」 小澤先生は驚きのあまり大きな体とは不釣合いな可愛らしい顔をポカンとさせて ―少しずつ口元が上がっていき ―背中は感動でブルブル震え ―潤み始めた目を真っ白な袖で豪快に拭った。 『先生はお前達の担任になれたことを誇りに思うっ!!!』 教室中を下から包み込むような重低音は当然地声。 先生は一生懸命に涙をこらえていた。 「涙は一年に一度しか流さない」というのが小澤先生の、教師である自分への決まりらしい。「だから、卒業式でその涙を流したい」 しかし今、先生はその決まりを守るか、或いは卒業式で涙を流さない、かの選択に追いやられている。私たちの学校は卒業式の前に1時間ほど先生の《担任としての思いを伝える時間》というすばらしいものが設けられている。しかし教室に入ってきてすぐに涙腺が緩み始めた小澤先生にとって ―皆と話せる時間は当然うれしいが― 涙を我慢するのに1時間はあまりにも長すぎる。しかもこの時間を先生は―夢を訴える時間―として使うと前々から言っており、それは実行に移され、皆が恥ずかしがりながらもそれぞれの夢を伝えているのだから、先生はすでに-声を出したら泣いてしまう状態-に陥っており、そのため言いたいことがあったら黒板にそれを殴り書きしている。 そんな感動を分かち合っている教室の隅、最後尾の窓際という最も目立たない席 ―私の隣― に席を構える男の子は、ものつまらなそうに窓の外に見える桜の木を眺めていた。 ―この学校は中高一貫校で、(といっても校舎は少し離れたところに位置している)私達はそこの中学3年。ちなみに私は今日限りでこの学校を卒業して違う県にある私立女子高校に入ることになっている。 中高一貫校といえば通常エスカレーター式で中学から高校まで上がれるのだから、出て行く人も少ない ―こんなに卒業に感動はしないんじゃないか― と思った人も少なくはないだろう。確かにこの学校はエスカレーター式で高校まで上がれるようになっている、でも、上がる人は少ない。 理由は簡単で、この学校は開校してから3年しかたっていないから。 中高両方をまとめる第一期、現在の校長は自分が学生のころに校則や先生達の厳しさに縛られて、やりたいことを自由にできなかったことを今でも忘れられないと朝会で毎回のように話す。そのため生徒達にはできる限り自由に、自分の夢を実現させられる学校にするための基盤を自分の手で築き上げ、窮屈な思いをせずにすむような学校を生徒の手で作ってほしいということで、最低限の決まり以外は生徒達の自由としている。このカタチは中学としては大好評でそういう環境を求めていたという人々が隣の県からでも数時間かけて通学してくる。しかしそれが受け入れられるのはあくまで中学までで、高校まで同じ自由さが続くとなると、あまりにも自由すぎて勉強が疎かになってしまうのではないかと心配し始め、隣の県から訪れていた人は近くの私立へ、近くに住んでいた人ももっと基盤のしっかりできた学校へ移ってしまう。 だから、毎年中学校で9割近くの人たちが卒業してしまい、中学は基盤のあるところにいて、高校からの自由を求める人が、新わが校の高校1年として入ってくる。 ―そして今年も例年のように、うちのクラスでは4人、学年でも20人程度しか残らず後は皆違う学校へ移ってしまう。 彼は、この学校に残るメンバーの一人だった。 ――彼と出会ったのは中学一年の時。 母親に連れられて、新しい学校で自分がうまくやっていけるか、友達はちゃんとできるか、等と考えながら当時小学生上がりだった私はワクワクドキドキしながら学校の校門をくぐった。母親と別れ、始めてみる顔の先生に連れられて自分の教室へと向かい、そこで適当な席に座るよう指示された。 「よろしくね。」 そのとき私は最後尾の窓際から2番目の席に座って、窓際最後尾には一人の少年―彼が座っていた。 そこまでは覚えている。でも、 ―あの時先に挨拶をしたのが、私だったか彼だったのかは今でも思い出せない。 新しい学校、クラスは驚く間もないほどすぐ馴染めた。共通の話題、共通の趣味。まるで小学校生活をそのまま持って上がったような環境。相変わらず私は友達には恵まれているなとつくづく思った。そして小さいころから通っている塾で見につけた頭脳に、自分でも少し自身のある判断力、人をまとめられる(らしい?)カリスマ性を認められ、小学校同様私は学級委員長に推薦された。 この委員に就いたことは決して苦ではなかったし、むしろいろいろな人と平等に接して行く機会が得られたおかげで自分が学年の思い出をかげながらに支えていたという貴重な思い出ができてよかったと思う。 ―それに、学級委員長にでもなっていなければ、私もあんな行動には出ていなかったと思うし・・。 1年2組。一学年3,4クラス編成という公立中学にしては小規模なこの学校は、だから他のクラスとの交流も結構ある。隣のクラスから人々が訪れて教室で騒ぐことも、一緒に教室で弁当を食べること(学食なし、弁当持参)もあり、しかしそれに対して先生達は注意するどころか輪に混じっては一緒にワイワイ騒いでいた。そんな自由なおかげか、学校全体の雰囲気は明るく皆友好的で、一人でいる人なんていうのは少ないというかまったくといっていいほどいなかった。 ――そんな中、 ―彼はいつものように独りでいた。 隣の席だったからというのも大きかったかもしれないが、何より学級委員長として、休み時間中もずっと一人で席に座って窓の外を眺めている彼の姿は放っておけなかった。学級委員長に抜擢されたころから気になり始めていたのだが、一学期も半ばまで達し、天神さんやら勉学の神様だけでは事足りず、いずれ散ると分かっているのに願いをこめた桜はすでに華麗に散ったころ、ついに私は行動に出ることにした。 「お、おはよう。いつも、早いね。」 午前8時ピッタシ。いつもと同じ時間に学校につき、騒ぎ、乱暴に扱いすぎたせいで傷だらけになった扉をいつものようにゆっくりと開けると――いつものように彼はそこに座っていた。 ダッ・・・タッ・・・と母にもらった中学入学祝いの中に入っていたスニーカーが床に当たる音が静かな教室に鳴り響く。まず電気をつけ、ホワイトボードの右端に本日の日直の名前を書き、意外に几帳面な体育会系の先生―小澤道明先生の持ってきたかわいらしい花瓶に刺したすみれが枯れていないかどうかチェックしてから席に向かう。鞄を机の横に掛け、中から筆箱とノートを取り出して机の上におき、まだ新品同然の椅子に腰掛けた。 「・・・」 頑張れば100人は収容できそうな教室の隅っこに二人だけ―いつもならもう1人仲のいい子がいるのに、昨日から風邪で休んでいる。 ―まさかここまで緊張するとは思わなかった・・。 ばれない様になるべく音を立てず息を大きく吸い、音を殺して息を吐いた。それを数回繰り返し、緊張を和らげようと試みる。 ―はぁ・・。何でこんなに緊張してるんだろう・・。 考えてみればここまで緊張する理由はないはずだ。これはただ単にクラスメートに挨拶をしてそこから少し雑談をしてみようというもの。こんなことはもう今学期中だけでも何度かやってきたし、確かに少しは緊張していたものの、ここまでではなかったような・・。 ―大丈夫!普通にしていればいいんだよねっ。 そう心の中で言い聞かせて自分を勇気付け、張り切って顔を上げる。 と、広い教室の汚れのあまりない天井から発せられる光が、かざりっけない壁や黒板、主を待つ新品同然だがしかし傷のつきはじめた机や椅子に反射し教室をよりいっそう広く感じさせた。 ―・・このムードが問題ね。無駄にサッパリしすぎているのよ。 そう頭の中で思ったのも束の間、もし違う男子が入ってきたら話しかけにくくなる、という考えにそれはかき消され、私はこれで二度目の挨拶を今度は耳元で言って見せた。 「おはよう。いつも朝早いよね。」 今度はすらすら言えた。いつもの自分らしいかざりっけない自然な挨―― 「うわっ!!!??」 突然彼が目の前で振り向きざまに驚いて幽霊を見たかのように目を見開きながら後ずさった。ズザザザと音を立てながらゴムで底を防備された椅子がすべって、 ゴンッ 『ゲフッ!』 ―コけた。 目の前で彼は椅子が床に当たるよりも早く頭をぶつけた。その音は床から足に伝わってから脳に直接響いてくるような重低音で、私は突然のことに何も言えずにその様子を見ていた。 「いってぇぇぇ・・。」 彼は後頭部周辺を優しくなでながら、「コブできた・・」とぼそっと呟き、椅子を直し、座ろうとして、 「うわっ!!!??」 再び私の存在に驚いていた。 唖然と見守っていた私も、目の前で驚いた拍子に窓ガラスに再び後頭部を打った彼を見てさすがに心配になった。 「大丈夫・・?」 眉毛をへの字にしながら目を見開き、う~ぅ~唸りながら一生懸命にぶつけた箇所をさすっている彼の姿は、いつもの話しかけにくい彼から感じられるイメージとは違うものだった。彼は下を向いたままの姿勢から、 「あぁ、うん。おはよう。」 と返してきた。 ――あはは、そっち? イメージの中で、口を半開きにして目を細めながら呆れたように笑ってみせた。(あくまでイメージの中で。) 次に彼がとった行動というのも、不可解なものだった。 慌てて「おはよう。」と返事を私が返した後、今度は私を見ながら固まってしまったのだ。 私の目をじ~っと見ながら数秒間停止し、顔の色だけが赤く染まっていっている。頬から耳、最後には顔全体が赤くなり、 ―彼は挙動不審になった。 私の目を見据えていたかと思うと、即座に目をそらし、再び顔をチラッと確認して、今度は顔をそらす。顔を左右に小刻みに震わし、あわてたように口をパクパクさせながら両手をその頭の上に乗せ、目をぱちくりさせ、手を机の上に戻し、行動停止。再び動かなくなってしまった。 突然の摩訶不思議な行動に私は少々驚いたが、一人で混乱している様が―いつも教室で見かける彼と違う様が、ちょっと可愛く見えて、つい、 ―彼のその大きな手に自分の手を重ねてしまった。 多分あのときの私がそれ以降の人生で一番の笑顔を浮かべていたことだろう。 教室ではそれぞれの夢について語り終えて、今は小沢先生が泣くのをこらえようと、顔は笑っているのに目は潤んでいて目は引きつっているという面白い表情を浮かべながら人の《将来》と《別れ》について語っている。 そんな不器用な先生をみんなが一生懸命励ましている中、私の左隣に座るクラスメートはというと、つまらなそうにしかしどことなく悲しそうな表情を浮かべてどこぞの公園からもらってきたという大きな、2階を越すくらいの高さはある桜の木を眺めていた。 私は彼の相変わらずな行動に呆れながらも、なぜか見とれてしまい、いつも携帯しているメモ帳に彼のその行動の理由を尋ねる文を書いて、彼の机に向かって軽く投げた。 紙は窓際よりに立てられた肘に当たると、跳ね返って机の中央に値する位置でとまった。 彼はすぐにそれに気づき、慣れた手つきでたたまれた紙を解く。 すぐに返事が帰ってきた。 《いや、ただあんまり関わりがないからな。》 と、不器用だが一文字一文字が丁寧に書かれた文が帰ってきた。 読み終えて前に向き直ると、いつの間に我慢の限界に達したのか笑いではなく哀しみの表情を浮かべ、目から水滴を流しながら先生が、卒業式がんばれ!と黒板に殴り書きをしているところだった。 左の男の子はまた、窓の外を眺めることに専念している。 朝のHRが終わるとすぐさま3年生全員が体育館の後ろの出口に集まり、いやになるほど練習させられたセリフをもう一度みんなで確認してみる。それが終わると、今日だけのために垂れ幕がかけられた年に一度の入り口をくぐって、練習の成果を家族や来賓の方々の前で披露した。 そして、私は学級委員だったのでさらに《ありがとうの言葉》というのをみんなの前で話すこととなっていた。スピーチは完全に覚えているので問題はない。時折チラッと先生方の立っているところを見てみると、小沢先生はすでに目を真っ赤にさせながら、顔を伏せては上げ、上げたら目を拭くという動作を繰り返していた。大声で泣き叫ばないだけよかったといえよう。それにつられてか分からないが、卒業生の席に座る友達―特に女子―が次々に泣き始めると、さすがの私も耐えられなくなって鼻声になる。 ―いわゆるもらい泣きというやつである― そして、スピーチが終わったころには、 ―涙が止まらなくなっていた。 こうして私は、無事卒業式を終えた。3年間お世話になった学校、友達、苦手な人も当然いたけれど。それでも、今思い返してみると幸せな時間だったと思う。 声をからした体育祭。 一致団結して歌った合唱コンクール。 大変だった部活動。 喧嘩して以来話さなくなった友達。 そのどれもが、良かったこと悪かったことすべてが、思い出としてこの校舎には刻まれている。「中学校が人生で一番面白かったよ。」と、いつか再開したときに言えるのかはわからないけれど。それでも、忘れないように、しっかり覚えておきたいと思う。 ―彼のことが好きだったことも。 付き合えることはなかったけれど、それでも勇気を振り絞って告白したことに悔いはない。いつから好きだったのかはもう覚えてないけれど、少しずつ明るくなっていく彼の姿。 ―私は、それを見ているだけで幸せな気分になれた。 プロローグ 完 鳥海 星様へ
ヤッホー、涼子です。そろそろこっちの生活にも慣れてきたので、手紙でも送ってみました。え~っと、元気?私は元気です。こっちの人はいい人がほんとに多くて、学校は楽しいです。仲いい子もたくさんできたし、英語もしゃべれるようになってきたし。。星は、相変わらずcoolにきめちゃってるのかな(笑)。 私の家は、会社のおかげで結構広いんだよ。なんと、2階建て!お父さんて案外すごいんだなって実感した。まぁ海外にきてる人は結構みんなそうらしいんだけどね。それでねー、こっちに来てから、いろんなところを観光したんだけど、その中でおすすめは、やっぱりディズニーワールド!もうほんと広くて、楽しくて、いつかここに来ることがあったら絶対いかなきゃダメよ。その時は私が案内してあげる。 学校は、さっきも言ったけど結構充実してるよ。授業も英語がわかるようになってきたから楽しくなってきたし。科学のメアリー先生っていう人がすっごい面白いの!もう授業中笑いっぱなしで、毎日科学が一番の楽しみなんだ。イメージ的にはー、、角先生っていたでしょ?あんな感じ。うん、そんな感じで毎日を結構楽しんでます。 星の方はどう?みんな元気でやってる?拓郎とか駿とか沙羅とか。それともちろん星もね。まあ駿はどうせマイペースにやってるんだと思うけど(笑)。ほかのみんなことも、できれば手紙送ってください。やっぱ住所教えとけばよかったね。でも、これからは言い訳はさせないからね。毎週ぐらいのペースで送ってもらうから! あー。なんか久しぶりにこんなに日本語を書いた(笑)。私が日本語忘れないためにも手紙を書くべし!・・・今思ったんだけど、字が汚くてごめんね。。精一杯がんばったんだけど、やっぱりきれいじゃないな(笑)。まあ気にしないで!はい、そんなわけで、手紙第一弾はこんな感じで!星もたくさん書いてね!返事まってます!!! ばいばい!涼子より
そしてもう1つの理由はと言うと、ただ単にお互いが行こうと口にしないからである。私は迷子になるところを見られたくないから言わないが、それでも、もしムー君に行こうといわれた時はいこうと思っていた。だって、私は行きたくない理由をうまく誤魔化す自身はないし、なにより嘘は余りつきたくなかった。しかし、毎回出かける前には緊張していた私がバカみたいに、ムー君は本屋さんのことを口にしなかった。今となっては理由も聞くことはできないけれど。
この2つのショボショボな理由が私たち二人が本屋さんに行かなかった理由。行っていたら多分、なにか面白い発見とか話題がもっとできていたのだろうけど、できなかったことが自分達の運命だったのだと私は思う。最初から私とムー君のゲームには本屋さんに行くという選択肢は無くて、開発者も本屋さんということ自体を思いつかなかったから話題さえ彼らは口にしない。 中学2年生の間、私とムー君はクラスが分かれていたけど、それでもよく一緒にいた。映画に9回、買い物に21回、公園に57回・・・その他イロイロと行った。買い物は、ムー君が意外に食器とかカーテンとか家具類を見るのが好きであまり買いもしないくせによく家具屋に行っていた。他にもCD屋や電気屋さんにもよく行ってはお互いの意見を言い合っていた。こういう風に普通の中学生の男女があまり行かないようなところには良く買い物にいった。だけど、
―― ムー君と本屋さんに行くことはなかった。 本屋さんに行かなかった理由は、私の中では大きく2つある。 1つ目が、私達の学校から一番近い本屋さんは、その町の若者の集い場であり遊び場であるこの町でもっとも娯楽施設が集まっているところにあるのだが (というかそこ以外は結構遠い) そこがものすごく広い。それはもう東京ドームが本屋さんだったらどうなるんだろう、と言う普通ではありえないことを考えさせられるほど広い。本もそれに見合って、他ではなかなかそろわない古い本からマニアックな本から、無い本はないのではないかというほど置いてあり、このバカデカイ本屋さんでも本棚によって無駄なスペースは皆無。そして見つけやすいようにか、空間を有効利用するためにかわからないが、本棚はものすごく入り組んで置いてある ―故に私は迷ってしまった。 始めてこの町に来たとき。中学校1年だった私は、大きな本屋さんがあると母に聞くとすぐに一人で向かった。そして間違えるはずも無い大きな建物を見つけ、その入り口に立った時、感動のあまり多くの人が出入りする中、一人立ちすくんで歓喜の言葉を声に出してしまって回りに驚かれたのを覚えている。そして中に入って一番最初に、ファッション雑誌コーナー、と書かれて天井にぶら下げられたプレートを遠くに見つけ、それを目指してしばらく歩き続け、そして――迷った。 いくら出口を目指せど同じところばかりをグルグル回ってしまうものだから、このまま一生ここから出られなくなってしまうのかと当時小学校上がりだった私は考えたらしい。そして半泣きの状態で歩いているところを、何度か前を通った店員さんに声をかけられ、私はプライドも何もかも忘れて「迷っちゃったの」とヒックヒック喉を鳴らしながら言った。笑われるかと思ったが意外にも、慣れているのか彼は口元を少し上げて微笑み、手をとって出口まで連れて行ってくれた。 以来、私は本屋の話を聞くとそのときの恐怖と恥ずかしさを思い出してしまい、今の自分が同じことをしでかさないとは言い切れないので、行かないようにしている。 ―私がムー君と仲良くなってから、早2年が経過した。
中学一年生のころと比べて男の子は皆大きくたくましくなっていたし、女の子達も全体的に女らしさが増していた。 ――2年経てば、皆変わって行く。体だけではなく、心も。 ムー君はすっかり明るくなって、いろいろな人と打ち解けるようになっていた。特に目立って山本くん、河内くんと仲良くしていたと思う。他の人たちは、その相手の趣味に関する情報を手に入れたとか、そういう機会があったら話す程度で、ムー君から積極的に話しにいくというのはあまり見られなかった。あとはそうだなぁ・・・、相変わらずチヅルちゃんとはよく一緒にいたかな。 チヅルちゃんとムー君は生まれたときからの仲だという風に聞いている。なんでも母親同士が学生時代の親友で、それが今は隣同士くらしていてそれがまるで姉妹のように仲がいいと。そしてさらにチヅルちゃんとムー君の生まれた日、病院が同じだから、お互いの母親は自然と二人を一緒に育てた。まぁ、これだけ仲がいいなら、誕生日が同じじゃなくてもそうなりそうなものだけど。だから、1年生のころの暗かったムー君にも、クラスは違ったけど、彼女だけは周りの反応とは別に、何の抵抗もなく話しかけていたし、ムー君も他の人には見せない表情を彼女にだけチラチラと見せていたのを私は何度か盗み見たことがある。チヅルちゃんはまるでムー君のお姉さんのようだった。静かで落ち着いた口調で、彼に潤いの水を与える、ピンクの羽衣をまとった童顔の天使のよう。彼と同じで天然だけど。そして2年生になって私とムー君のクラスは分かれたけど、その入れ替わりというほどでもないが、チヅルさんとムー君とが同じクラスになった。 こんにちわ、私の名前は中村 涼子です。私は今アメリカはフロリダ、マイアミに住んでいます。こんなところで何しているかっていうと、実はお父さんの仕事の都合なんだよね。私のお父さん、観光会社に勤めてるんだけど、英語もしゃべれるし詳しいからって、ディズニーワールドのあるここフロリダの方に来ることになったんだって。まあ、普段は経営の方の仕事をしてるんだけど、たまに観光客の案内もするらしいの。ディズニーワールドはね、すっごいの!流石に本場は違うわねーって感じ。日本はやっぱり狭いんだなって実感した。まあそんなこんなでこっちに来てからもう半年ぐらいが経つのかな?結構充実した日々を送っています。
あ、まだ名前しか言ってなかったね。私は今17歳の高校2年生です。日本にいたらもう高校3年生なんだけど、こっちの学校は9月から始まるから、まだ2年生なの。もうすぐ受験だけど、いまだに進路決めてないし、ほんとお先真っ暗。。性格は、明るいほうかな?まあここにいる人たちがみんないい人っていうのもあるんだけどね。それで、肝心の見た目。自分で言うのもなんだけど、もてるほうだと思う。だって、こっちに来てからまだ半年ぐらいなのに、もう付き合ってくださいって言われたんだよ!?すごくない?まあー、断ったんだけど。結構かっこいい子だったのに、もったいない。。その子とは今とっても仲良くなってるよ。まだ未練があるらしいから、距離はちょっと置くようにしてるけどね。日本にいたころも、何回か告白されたことあるし。 ・・・でも、結局つきあったのは1回だけだったな。せっかく運命の人見つけたって思ったのに。その人ともこっちに来る前に別れちゃいました。遠距離恋愛なんてできるわけないじゃん、ってかっこつけたんだけど、実は未練たらたらです。あー、今頃新しい彼女とかできてるのかな?私がまだ好きって事知ったら、なんて言うんだろう。きっと、「お前が別れようっていったんだろ」って笑って言うんだろな。全く、泣いて引き止めてくれたら遠距離恋愛する決心だってついたかもしれないのに、妙にものわかりいいんだから、あの人。あ~~~もう、この話はおしまい!思い出すたびに切なくなっちゃうもん。 でもやっぱり考えちゃうんだよね。手紙でも送ってみる?自分に尋ねてみても、答えはいつも同じ。私にそんな勇気ないよ~。今頃おくっても迷惑だろうし。やっぱり住所教えておけばよかったかなぁ。変につっぱっちゃったから向こうからは手紙も電話もできないし。私のこと好きならしらべてよ!って言いたいけど、教えなかったのは私なんだよね。だから私から手紙送るしかないか。。そうやって手紙を書き始めるんだけど、書くだけで送れないのよ、私。引き出しの中にはもう10通以上手紙がたまってるの。便箋だってハート柄のかわいいものから、シンプルなものまでいろいろ。でもそろそろ送らないと、彼私のこと忘れてしまうかもしれないし。。 っというわけで今、実は勇気を出して郵便局に向かっているのであります。便箋は結局、青いかもめの書いてあるやつ。彼は青が好きだったということで、この色にしました。内容は、、、恥ずかしくて言えません!今思い出しても顔が赤くなるし。こんなのじゃまだ好きってことばればれだよ。。う~、でも私は勇気を振り絞ってこの手紙を出すんだ。やっぱじっとしているなんて私の性にあわないし。 さて、郵便局につきました。住所も書いてあるし、あとはエアメールの代金を支払うだけ。係員の人が来て、てきぱきと必要事項を済ましていく。お金を、、払って、完了。あとは届くのを待つだけです。 あ~あ、やっちゃったよ私。迷惑かな?迷惑だったらごめんね、星くん。
~あらすじ~
都会の片隅でまた一つ、卒業式という自由と別れをともに手に入れられる儀式が行われた。 ここでムーとチヅルは凛と離れ離れになることとなったのだが・・。 ―数日前 都会の片隅の病院で今、一人の少女が生死の境をさまよっている。彼女の名前は『紅山アヤメ』。小学校の卒業式を次の日に控えた彼女に悲劇が起こる。その悲劇により彼女は体の至る所を破損。医者もさじを投げた。 ―新しい高校生活 チヅルはわくわく気分で入学式を迎えていた。はじめてみる新鮮な顔の数々。一方ムーはというと、凛と離れ離れになってしまったショックをいまだに引きずっていた。そんなとき、彼は今までの人生を大きく変える人と出会う。――そして彼女のおかげでムーは過去の様々な出来事を忘れ去り、充実しすぎた学校生活を送ろることとなる――のか? 「ムー君も大きくなったよね。昔は私以上のガキンチョだったけど、今はなんかちょっと大人っぽくなってるっ。」
チヅルさんが、田舎の空に浮かぶ満点の星空を見上げながら言った。皺くちゃのスカートの太ももの上に手を置きながら、俺の横で上品な物腰で座っている。俺も彼女のように空を見上げてみた。 「これから高校で、ムー君はもっと男の人らしくなるんだろうなぁ。子供っぽいムー君のほうがよかったんだけどなぁ・・。」 と、寂しそうな目で言われても困る。ってか変わること前提に話さないでくれ。俺は別に変わるつもりはないのだが・・。まぁ、未来はわからないけどね。 でも、1人でできないことも2人ならできることもある。次の1歩をどうしても踏み出せない僕のほうに、今度は沙羅が1歩近づいてきた。ほんの少しだけど、確実に2人の距離は近づいた。そして、沙羅のその勇気が僕に勇気をくれた。いろいろなことが頭をかすめたが、僕はかまわず歩を進め、沙羅は、、、僕の腕の中にいた。
どれくらいの間そうしていただろう。駅から少し離れた公園のベンチで、僕らは並んで座っていた。沙羅は心の奥底に隠していた気持ちを、少しずつ打ち明け始めた。 * * *
思い出した。チヅルさんは酒に対する不思議な耐性を持っているんだったな。 あの話は確か、チヅルさんのお母さんから聞いたものを母伝いで聞いたのだったと思う。 俺とチヅルさんは近くに住んでいたおかげや、母親たちが学生時代の親友だったおかげで、赤ん坊のころからお互いを知っていた。偶然にも二人は生まれた日も同じで、病院も同じだったと言う話だ。幼稚園に入る前から互いの母は子供を預けあっていたし、幼稚園に入ってからは自分たちの意思でもよく一緒に遊んでいた。そして小学校も同じクラスではなくても、通学は無論、下校も一緒。これは最初お互いの母の半強制的な命令だったのだが、3年生くらいになるとお互いの意思で一緒に登下校していた。母親いわく俺の子守役のためにチヅルさんをつけているらしい、がまぁ、迷惑じゃなかったので問題はなかった。
「どうして星が泣いてるのよ。。泣きたいのは私の方よ。」
そういった沙羅の目はすでに真っ赤に腫れている。まったく、何で僕が泣いてるんだろう。母と違って沙羅は僕のことを捨てたわけじゃないのに。 僕には、今の母の前にもう1人母がいた。当然そちらの方が僕の生みの親なのだが、小さいころに僕らを置いてどこかにいってしまった。妹は、父が再婚した現在の母との子で、そのことを妹は知らない。 沙羅はかわいいと思う。突然言うのもなんだが、幼馴染のひいき目とかではなく、かわいい。今まで沙羅の事を好きになったやつを僕はたくさん知ってるし、沙羅告白してふられた人もたくさん知ってる。なかには「本当にふるの??」というぐらいかっこいい人もいたが、沙羅が首を縦にふることはなかった。 その理由が今、あきらかになった。いつからだろう、沙羅に対する恋愛感情というものがなくなったのは。幼稚園のときは「おっきくなったらけっこんしよ!」なんてお互い言い合っていたけれど、あの頃は友情愛と恋愛の違いがはっきりしていない年頃だし、僕も何も考えていなかった。小学校高学年になると流石にそんなことはなかったが、でもそれは仲が悪くなったとかでは全くなくて、互いの距離が近すぎただけの話だ。だから恋愛の悩みでもなんでも相談できたし、2人でどっかに行ったりしても全く自然体でいられた。 その沙羅は今、幼馴染としてではなく1人の女性としての顔で僕の前にいる。目を真っ赤にして、上目遣いで僕をみながら。そんなことを考えていると、急に沙羅が愛おしく見えてきた。 僕は1歩、前に踏み出した。しかし、次の1歩を踏み出す勇気は僕にはなかった。
―しかし・・・。
今思えばあのときの私の行動は、はたから見たら相当恥ずかしいものだったのではないだろうか。実の私も、思い出すだけで顔が赤くなってしまっていたし・・。ムー君の手に自分の手を重ねた・・。ムー君の手と手が重なる。自分から・・。キャッーーー!!!まぁまぁ、子供の突発的な行動というやつね!もうこの話題はおしまいっ!! コホンッ。 ともかく、ムー君は予想と反してかわいい事をする人だった。 私が思わず手を重ねてしまったときも、しばらくそれを眺めながら沈黙した後・・、暴れ始めた。 5秒間ほどの沈黙の最中に彼は首から頬、挙句の果てには耳たぶまでもを真っ赤に染め上げていった。手も血の気が引いたように青ざめ、なんとなく震えているような気がした。そして意識が戻ったのか、彼は突然に暴れだした。まず最初に青くなった手を引っ込め、それをジーっと眺めていたかと思うと、今度は詩をばたばたさせながら頭上で蚊を追い払うかのように手をうにゃうにゃと意味不明な軌道を描きながら騒がせる。そして今度は、私の顔を見て動かなくなる。ジーっとしばらく眺められる。と、彼の顔はますます朱色に染め上がり、挙句の果てに起動停止。机の上にぐったりと寝てしまった。 意味不明な行動。でもそれが私にとっては面白可愛くて、つい声に出して笑うのではなく微笑んでしまった。まるで子供をなだめる母のように。 その日から、私はムー君と話すようになった。 話題はいたって日常的なもので、朝何を食べたか、どういうことが好きなのかからはじまった。彼は事あるたびに可愛らしい行動をしては私を笑わせてくれた。本人はどうやら自覚はしてないようなのだが、たぶん天然というやつなのだろうと私は思っていたりもする。こんな面白い子がなんであんなに静かにしていたんだろう、という疑問は私の中で生まれることはなかったし、彼もなぜ私が突然手を重ねるなどという大胆な行動をしでかしたのか、を聞いてくることはなかった。 いつの間にか彼が一番仲のいい男の子になっていた。彼は次第に明るくなり始め、少しずつクラスに溶け込むようになって友達もいっぱいできていたみたいだった。中学2年になってクラスが分かれても私と彼の仲は相変わらずで、お互いの友達を誘っては遊びにいったりもした。3年生でクラスがまた一緒になってからは、もう毎日のように一緒にいた。 ―そんな日常は、突然に崩れ去ってしまったけど。
|
カテゴリ
最新のコメント
以前の記事
お気に入りブログ
ライフログ
おすすめキーワード(PR)
ファン
|
||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||